Statement

 

 

  人間は、常に何かと何かの間で揺れ動き、一つを選んでは他のものを捨て、それを繰り返していく。選んだものが正しかったのか、間違いだったのか、それは自分の心でのみ見ることができる。また、その心でさえも、環境や時代によって少なからず変化し、過去と未来では真実が異なることもある。

 

 こんなに未熟な自分たちの身体には、今も、血が脈々と流れている。

 

理性と本能の間で、あらゆる欲望に突き動かされ、葛藤を繰り返しながら生きていく人間。不完全であるが故に、失敗を重ね、誰かを必要とし、衝突と共鳴を繰り返し、一瞬一瞬、時を重ねていく。

 

私は、そういった脆さや弱さを含めた人間の全てを、愛おしく思う。そして命の奥底に存在する「生きる」ことの原動力となるものを、表現したい。普遍的なこの問いと向き合い、国境や時代に関係なく、人間としての根本にある何かを、追い続け、世の中へ発信していきたいと思う。

 

 

 

 

この世のすべてのものは、循環する

 

ひとつの細胞が、さまざまな形に姿を変え、この世界を形成するように

ひとつの魂も、この身体から解き放たれたとき、どこかで存在し続けていくのだろうか

それは、今の私には分からない

 

今、私が願うことは

自身の表現を以て、自己の感受性で得たものが、この世の循環の一部分となることだ

 

ひとりの人間の中の感性は、あらゆる表現を巡って

またある人間の中に入り込み、この世を彩っていく

 

感性の循環の先にあるもの

 

いつかはこの世からいなくなり、それが見られなくなる時が来ても

今は、伝えることの積み重なりを、あらゆる循環を楽しむことを、

大切にしていきたいと思う

 

 

2016年個展 "Circulation" ステートメントより